実際に「所有格」と声に出してみると、その格調ゆかしき語感に思わず息を呑み、実に格式ある格言であらせられるといった感慨に浸ることは極々自然なことであります。その風格からは凛とした緊張感が漂い、その別格の品格に息苦しささえ感じてしまう、そんな所有格の格という言葉の意味を仕事柄なのか度々問われてきました。念のため、「格」という言葉を確認してみると、
格(かく、英語: Case)とは、名詞、代名詞、形容詞、分詞などに付与されて、その語を含む句が持つ意味的・統語的な関係を示す標識の体系で、語形を決める文法範疇・素性の一つである。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
その解説までもが格式高く、何となく近寄りがたいと感じる方も多いのではないでしょうか。
所有格の格の意味を瞬間的に理解する方法
格式高い解説はさて置き、「所有格の格って何ですか?」と生徒さんに聞かれたら、このように説明することにしております。
例えば、格を使った言葉に「価格」というものがありますが、この価格という言葉を言い換えるとしたら、
「値段」でしょうか。
そうですね。例えば、八百屋に行ってトマトを1個100円で買ったとします。その1週間後、再びその八百屋で1個のトマトを購入する際の値段、つまり価格は同額の100円でしょうか?
最近は値上げが凄いので120円くらいになってると思います。
格=変化
さて、「所有格の格は変化を示している」といった話でしたが、本当に何かしらの変化が起こっているのでしょうか?
元の形 | 所有格 |
I | my |
私は | 私の |
少なくとも2つの変化が起こっていますね。
そうですね。このように、「私は」という意味合いから、「私の(所有する)」という意味合いに変化(格)させるために、その形を「I」から「my」へと変化(格)させた「my」を所有格と呼んでいます。
所有格(our)を瞬間記憶する方法
日本では所有格を覚える際に「I-MY-ME-MINE」と暗唱のような感じで記憶するそうですが、音(発音)に関してはこの方法で記憶出来るとしても、綴り(スペル)は書いて覚えるか、見て覚えるしかありません。その中でもWe「私達」の所有格であるOur「私達の」のスペルが覚え難いという話をよく耳にします。
We「私達」の対義語にあたる言葉はYou「あなた達」になります。Youは「あなた」と単数のイメージが強いようですが、厳密には複数の「あなた達」も同じYouとなります。
これではどうでしょう。
といったように、YourからYを消し去るだけでourが出現します。
同時に、Youには「あなた達」という複数の意味があることも記憶出来るので一石二鳥です。