どんなに愛着を感じているペンであっても、そのペンに「太郎」などと名前を付け、その太郎をペットのように可愛がる。なんて人はあまりいません。「古くはガチョウの羽根の付け根に縦の切れ目を入れ、そこにインクを染み込ませて文字などを書く道具って、あの物の名前は何だっけ?」という質問をする人もあまりいません。仮に、そのような質問を受けた場合は、その物の名前は「Pen」だよ。と応じますが、その「Pen」という名前を文法界では普通名詞と呼び、その「Pen」に可愛さ余って「太郎」と名前を付けてしまった場合、その「太郎」を固有名詞と呼んでいます。
名詞(noun)とは、その文字通り「名前を表す詞(ことば)」ということになります。この名詞を細かい種類に分類すると、先ほど例に挙げた普通名詞、固有名詞があり、その他にも、集合名詞、物質名詞、抽象名詞と計5種類が存在しています。
これまで、教室に通う多くの生徒さんから、これら普通名詞、固有名詞、集合名詞、物質名詞、抽象名詞の5種の中で、「抽象名詞がなぜ名詞(名前)なのかが、いまいちピンと来ないんですけど。」という苦言を呈(てい)されてきました。抽象的の反対語が具体的という言葉であることからも分かるように、そもそも「抽象」という言葉には「実態が明確でない」という意味が含まれています。文字通り、元々その実態が掴み難いものなのでピンと来ないのも不思議ではありません。
例えば、「ペン」や「太郎」であれば、「それは物や人の名前だから名前を表す言葉、つまり名詞である」と容易に判断出来ますが、抽象名詞(abstract noun)は、music「音楽」、life「人生」、peace「平和」のように物体として形のない物であるために「名前という概念そのものに違和感を感じてしまう」つまりそれは「名詞であることへの違和感である」と考えています。
実は、この主語になれる品詞は名詞のみになります。
つまり、文中の主語になることが出来れば「それは名詞である」ということです。
抽象名詞であるmusic「音楽」の場合:
抽象名詞であるlife「人生」の場合:
抽象名詞であるpeace「平和」の場合:
今回は、名詞であるか否かを確実に瞬間的に見分ける方法でした。
抽象名詞に限らず、その英単語が名詞かどうか判断が難しい場合は、その英単語を日本語に置き換えて、その言葉を主語として文が作れるかどうか試してみましょう。主語になることが出来たら、それは名詞です。